メディカルコントロール(Medical control: MC)は今や、救急医療体制を構築する上で欠かすことのできないkey wordです。北総救命は、印旛地域救急業務メディカルコントロール協議会(通称、印旛MC)の構成医療機関であり、オンラインMCはもとより、事後検証、病院研修などのオフラインMCに深く関わっています。とりわけ、救急救命士/救急隊員の病院研修の充実を目的とした研修指導救急救命士制度や、日常の救急隊活動の評価を行う処置確認訓練は、印旛MC独自の活動であり、北総救命スタッフはそれらの指導を行っています。また、局地災害を想定したエマルゴトレーニングを通して、消防組織への訓練の提供、指導を行い、不測の事態にも医療と消防が協働して対処できるよう準備をしています。
MC体制は、当初言われていたような「救急隊の活動の質を保証するための活動」という単純な内容に留まらず、地域全体の救急医療を作り上げるための構成要素すべてに医師が監修(oversight)する必要性を説く大きな概念です。MCは日常の救急医療、災害時にかかわらず、地域の危機管理のための重要な枠組みであると考えて良いでしょう。将来、地域のMC体制は救急・災害医療に特化した医療管轄区と認識され、MCに責任を持つ医師は、言わば、地域の保健所長に相当する立場になっていくものと思われます。北総救命には、そのような人材を積極的に育成する使命があります。